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産地紹介:億首川のマングローブ

沖縄本島の河川河口部ではマングローブと言わないまでも、狭い範囲でヒルギの木が繁殖している事は決して珍しくありません。


たとえば誰も気にしないだけで、飛行機が見られる事で有名な瀬長島の付け根に広がる干潟にも生えています(たぶん植林だとは思いますが)。
一般的にマングローブが着目される時、ヒルギの木々が依って立つ干潟環境とセットで語られる事が多いのですが、いざ触発されて現地で生物を探しても、ガイドの方が居ないとウミニナの仲間とカニぐらいしか見つからないものです。

私がマングローブを訪れた目的は貝ですが、やはり最初は何処に居るのか分かりませんでした。



まず私が向かった慶佐次のマングローブは遊歩道以外は立入禁止であり、遊歩道からは全く動物の姿が確認できませんでした。
それもそのはずで、干潟の生物は総じて地味で、小さく、隠れています。
そのため、観光客も、本島の他の地域から来た方も、どう慶佐次で時間を過ごせば良いかわからず、ドライブの途中にトイレを済ませ、森を見ながら一息つくサービスエリア的な存在となっていました。




一方、誰でも自由にマングローブの中を歩けるのが、金武町の億首川です。
初めてマングローブを歩いた時は興奮したものですが、同時にマングローブ特有の貝が意外と少ないように感じました。


リュウキュウヒルギシジミ。
満潮時に水没するような所にも棲息できるため、オカミミガイの仲間に比べたら棲息範囲は広い。
意外と無名河川の岸寄りのヒルギの間にも棲息していたりする。


ヒラマキアマオブネ。
意外と適応範囲が広い。



億首川のマングローブに棲息する貝の種類が想像したよりも少ない理由は、周辺の用水路を探索してゆくと明らかになりました。


金武町の億首川周辺には田芋畑が広がっており、そこには用水路が規則的に走っています。


その用水路を丹念に歩いて回ると、億首川で見られなかった貝が無数に棲息している事が分かります。


トウガタカワニナの群れ。


シマカノコ。


ツバサカノコ。

こうした貝の分布から考えられる事は、開発の進んだ億首川から彼らが棲息する環境が失われているという事です。
最も失われたのは岸際の環境で、なるほどギリギリまで農地や道路として利用され、コンクリートの垂直護岸で固められてしまっています。
これにより満潮時にマングローブのほとんどの部分が水没する事になります。




こちらは国頭村安田を流れるヒンナ川河口マングローブの岸際の様子です。
風波等で吹き寄せられたヒルギの枝葉が堆積しているのが分かるでしょうか。


この枝葉をどかしてゆくと、クロヒラシイノミやヌノメハマシイノミといった貝が現れます。
彼らが何故このような所に居るのかと言えば、長期間堆積し、腐葉土と化した枝葉に付着したバクテリアを食べるためです。
一見汚い、無駄とも思える岸際のスペースで生産されたバクテリアは、貝類の餌になるだけでなく、雨水や、たまの潮位の上昇などで海に運ばれ食物連鎖を支えているのです。

メディアで山が海を豊かにするという事を度々耳にするようになりましたが、そんな壮大な話をするまでもなく、腐葉土がどこで生産されるのか想像してみて下さい。
バクテリアが雨で川に流れる経路と併せて想像すると、干潟の岸際だけではなく、川沿いの何気ない空き地でさえ意味を持ってきます。

だからと言って開発を悪とするのは乱暴な話で、金武の場合は億首川周辺の開発が必要だったのでしょう。
むしろ暮らしを向上させつつ、多くのヒルギの木を残してきた事を評価すべきであり、その上で、今の暮らしは自然の豊かさと引換に手に入れたのだという自覚を持つべきではないかと思います。

今も沖縄の人口は増え続けているのです。



さてヒルギの枝葉が堆積する場所にマングローブ特有の貝が棲息すると述べてきましたが、こうした貝は同じ条件さえ整えばマングローブが無くとも棲息します。
ただしマングローブに棲むものとは若干種類が違ってきます。


右側の草むらの辺りに枯れ草や葉が堆積しているのが分かりますでしょうか。


その下には大量のチビハマシイノミ、コハクオカミミガイ、ハマシイノミガイ等が棲息していました。




先程と違う場所の石の裏に居たヌノメハマシイノミです。
このくらいの大きさになるとルーペを持参し、種類を確認しながらの採集になります。
同じ種類を無駄に採集しないためです。




やはり全く別の場所です。
ハマシイノミが活発に活動しています。




ヒラマキアマオブネ。
ヒルギの木だけでなく、石組み護岸の石の間等でも見かける。


シマカノコ。
完全に水没するような場所よりも、殻が少し浸かるていどの浅い泥底の河川河口部や用水路で見かける。


ウスコミミガイ。
汽水域の満潮時に水没はしないが、地面を通じて湿気が上がってくるような石の裏。


ナガオカミミガイ。
潮上帯の湿気を帯びた石の裏。


ウラシマミミガイ。
3ヶ所のマングローブで確認できている。
ヒルギの木の幹や、周辺の倒木、漂着ゴミの下。


なぜか細い樹の幹に沢山付いているような気がする。


カタシイノミミガイ。
大浦のマングローブに棲息する。


クロヒラシイノミ。
かなり広範囲に棲息する。
河川河口部の湿気を帯びた石、枝、ゴミ、葉等の下。


マドモチウミニナ。
河川河口部の潮間帯で、ヒルギの木、岩、構造物等に寄り添うように棲息する。


ツバサカノコ。
流れの非常に緩い場所の石の裏等に棲む。


トウガタカワニナ。

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Author:自然をめぐる人
貝殻拾い、釣り、日帰り温泉、動物撮影、風景撮影、山登り、石拾い、、、普通の観光旅行に飽きてしまったら、それは自然に親しむチャンスです。

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