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産地紹介:大山の湧水と用水路


沖縄本島の沿岸、汽水域、海とつながった河川には、アマオブネという貝の仲間が広く分布しています。
その独特のフォルムも魅力的ですが、変化に富んだ本島のどこに棲息しているのか、探し当てるのもまた楽しみです。




私は特に汽水域や淡水域に棲む種類を探すのが好きで、各地の水源や流路を歩いて回った結果、本島中部(北は大宜味村や東村~南は金武町や恩納村)の河川や用水路に最も沢山の種類が棲んでいる事が分かりました。

その理由として、水の綺麗さ、緩やかな傾斜があること、川底が岩盤やコンクリートでできていたり石が転がっていること等があげられます。

確認できた貝は、ドングリカノコ、シマカノコ、イナヅマカノコ、ムラクモカノコ、ニセヒロクチカノコ、イガカノコ、スジシマイガカノコ、カノコガイ、イシマキガイ、カバクチカノコ、クリグチカノコ、ツバサカノコ、コウモリカノコ、フネアマガイ、ベッコウフネアマガイ、タイワンシジミ、カワニナの仲間と実に多彩です。



一方、本島南部は土地が平坦で、それ故に河川の流れが緩く、海に至る過程で農業や住宅からの排水が高い濃度で蓄積されてゆきます。
底質も砂泥やヘドロが多く、貝が着く場所がコンクリート護岸しかありません。
発見できる貝は、カノコガイ、イシマキガイ、フネアマガイぐらいなものでしょう。




逆に、地形の険しい国頭村の川はどうなのかと言うと、確かに水は綺麗なのですが、流れが強過ぎるのか、わりと種類が限られてきます。


写真は我地川の大岩についたカミングフネアマガイですが、他にフネアマガイ、イシマキガイ、カバクチカノコ、クリグチカノコ、アカグチカノコといった貝が採集できます。




ちなみに本島北部の河川は、道路から川岸まで藪こぎをせずにアプローチできるルートが少なく、へつりが困難な場所が多いため、けっこう苦しめられました。


私が探索をした時期は真冬ですが、川の近くの路上ではヤマカガシが車にひかれていましたし、宜野湾市大山の用水路では2月上旬にハブの死体を見ています。

なるべく藪こぎは避けたいものです。




さて最後に湧き水を水源とした農業用水路を取り上げます。
これはどこでも良いというわけではなく、水が綺麗で、地形にバリエーションがあり、海とつながっているというのが条件となるようです。
これらの条件を満たす農業用水路は多々ありますが、観察や採集がしやすく種数も多いエリアとなると、宜野湾市大山、今帰仁村の大井川周辺、金武町の億首川周辺の3ヶ所がオススメできます。




宜野湾市大山は市街地に囲まれた田芋の名産地であり、市民の憩いの場にもなっています。
田芋の生産には綺麗な水が大量に必要で、それを支えているのが湧き水です。
湧き水で満たされた田芋畑や水路には、大量のカワニナ、タイワンシジミ、アマオブネの仲間が棲息しています。
ここの貝の特徴は、とても殻の状態が良いという事です。


これは大山のカワニナですが殻頂が見事にとがっています。
通常カワニナの殻頂は、たとえそこが清流と呼ばれる川であっても、貝殻の生成に必要なカルシウムが足りずに欠けているのが普通です。
しかし、大山の湧き水は琉球石灰岩の中を通ってくる時にカルシウムが大量に溶け込んでいるのでしょう。
この事を採集中に会った地元のおばちゃんに話すと、ここの湧き水を沸かすとヤカンに白いものが付くと教えてくれました。


そんなミネラル満点の湧き水は、一段低いドブ川に注がれ、途中から家庭排水等が合流します。
やはり水は臭くなりますが、元の水が素晴らしいため、やはり貝の一大繁殖地である事に変わりはありません。

ドブ川の底質は場所によって異なり、締まった砂泥であったり、小石であったり、ズブズブの泥であったりします。


砂泥地はシマカノコの群生地となっています。
その殻の質はマングローブのものよりも上等です。


川底に沈む石や護岸にはカバクチカノコやムラクモカノコが棲息しています。


川底から引き上げた扇風機にはコウモリカノコがついていました(画面中央の窪み)。




実は、この採集中に農家の方からドブ川の砂泥を取って、畑で干した後、近くで予定されている建築の埋め戻しに使うという話を耳にしました。
農家の方は田芋が病気になるんじゃないかと心配されてましたが、私は砂泥のおかげでこのていどの汚濁で済んでるのが、名実共にドブ川になる懸念を伝えました。
農家の方も、ここは手長エビや大ウナギが住んでいるのにと残念がっていました。
ドブ川の砂泥を取った所で浮く金などたかが知れています。
目先の小銭のために情けない話であり、こういう小さな事の積み重ねで自然が壊れてゆくという良い例だと思いました。




カミングフネアマガイ。
国頭村のみで確認できている。


アカグチカノコ。
国頭村の河川上流部のみで確認しているが、ネットでは本島中部の河川上流域での確認情報もある。


クリグチカノコ。
カバクチカノコと似たような所に棲んでおり、ややカバクチカノコより個体数が少ない。


カバクチカノコ。
河川中~上流域、水が綺麗な用水路に棲息。


どちらもカバクチカノコだと思うが、随分と赤い個体がいるものである。


ムラクモカノコ。
河川中流域、水の綺麗な用水路、湧水地に棲息する。


イナズマカノコ。
本島中部の下流域で確認している。


イガカノコ。
本島中部の、汽水や、淡水であっても汽水寄りに棲む。


コウモリカノコ。
棲息確認が難しい場所に棲んでいるのもあると思うが、そもそも河川河口部の打上状況から見ても個体数が少ないと思われる。


ベッコウフネアマガイ。
億首川のコンクリートブロックに、フネアマガイやスジシマイガカノコと混在するように着いていました。


今帰仁村の用水路の澱んだ水だか泥だか分からないような所に居たタケノコカワニナ。

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Author:自然をめぐる人
貝殻拾い、釣り、日帰り温泉、動物撮影、風景撮影、山登り、石拾い、、、普通の観光旅行に飽きてしまったら、それは自然に親しむチャンスです。

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